Think clearly シンク・クリアリー ㉛-2
□ 質問に「わからない」と答えていい
(中略)
ありとあらゆることに意見を述べなくていいのは、とても開放感がある。
それに、恥ずかしがらなくても、意見がないのは「知能の低さ」のあれわれではない。
「知性の表れ」だ。
意見がないことはまた、財産である。現代が抱える問題点は、情報の過多ではなく、
意見の過多だからだ。
思考の対象にするテーマは、意識して自分で選ぶようにすればいい。
あなたがいま考えるべきテーマを、なぜジャーナリストや、ブロガーや、ツイッターの
ユーザーに決められなければならないのだろう? あなたは彼らに雇われているわけでは
ない。
考えるテーマはきちんと選んで、それ以外のものはすべて「複雑すぎる質問用」バケツ
に入れておこう。
いろいろなことに意見を求められても、辞退すればいい。あなたがコメントしなくても
世界は問題なくまわりつづけるのを見て、あなたはきっと驚くに違いない。
□ 「軽率に意見を述べる」頻度を極力少なくする
だが、あなたが本当に「自分の意見」をつくりあげたいときは、どうすればいいだろう?
その場合は、時間をかけて、落ち着いて、自分の考えを書き出してみるといい。
「書く」という行為は、考えを整理したいときの王道だ。とりとめのない思考も、文章
にすればクリアになってくる。
そして、「ほかの誰かの意見」も参考にする。理想的なのは、あなたと考え方を異に
する人の意見だ。
そしてあなたの意見がはっきりと思えたら、ひと通りチェックする。あなたの論拠を
崩せるかどうか、自分で試してみよう。そうすればあなたの意見の確実性を確かめる
こともできる。
結論。軽率に意見を述べる頻度が少なければ少ないほど、あなたの人生は向上する。
あえて具体的な数字を出すなら、あなたがプライベートやビジネス上で述べる意見で
本当に重要なのは、ほんの1パーセント程度。それ以外の99パーセントは、実は不要
なのだ。
また、意見を求められたテーマが、あなたが厳選した思考のテーマのひとつだったと
しても、あなたの火山から最初から吹き出た意見に飛びつくのはやめたほうがいい。
あなたがテレビのトークショーのゲストとして招かれ、一緒に招かれたほかの五人の
ゲストが全員、あなたと反対の立場をとったときのことを想像してみるとわかりやすい。
あなたの意見が尊重されるのは、あなたが自分の立場を雄弁に論証できた時だけだ。
この続きは、次回に。
2024年12月3日
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美