お問い合せ

Think clearly シンク・クリアリー ㊳-1

38. 自分の頭で考えよう—イデオロギーを避けたほうがいい理由

 

□ 「知識の錯覚」と呼ばれる現象とは?

 

「ファスナーの仕組み」をご存知だろうか? あなたのファスナーについての知識を

0(何一つ知らない)から10(完璧に把握している)までで評価して、その点数を書き

留めてみよう。

 

(中略)

 

私たちは、何かについての説明を求められるまで、その何かについて「比較的多くの

ことを知っている」と思い込んでいる。そしてきちんと説明しようとして初めて、

自分たちの知識が不完全なことに気づくのだ。

おそらくあなたも例外ではないだろう。あなたもファスナーについて、実際よりも

多くのことを知っていると思い込んでいたのではないだろうか。「知識の錯覚」と

呼ばれる現象である。

 

(中略)

 

変革がもたらす最初の波まで考慮するだけでは十分ではない。その波がもたらす波の、

さらにもうひとつ先の波まで予測しなくてはならない。作用の連鎖をすべてこと細かに

検討するには、数日や数週間どころではなく、ゆうに数か月はかかる。

それだけの時間と根気のある人が、果たしてどれくらいいるだろうか?

 

□ 自分の意見は、周りの影響のもとにできている

 

だから、私たちはラクな方法をとる。複雑な問題に関する際には、奇妙なことが起きる。

そのテーマについての本を読んだり、専門家の意見を聞いたりする代わりに、私たちは

自分が属する社会集団の意見をそのまま借用してしまうのだ。

その社会集団とは、政党の場合もあれば、同業者グループの場合もあるし、社会的な

階層や、スポーツクラブやストリートギャング団の場合もある。私たちの知識には、

自分が思っているほどの客観性はない。

スティーブン・スローマンとフィリップ・ファーンバックが、共著『知っているつも

り—無知の化学』の中で言及しているように、私たちはおもに「自分の周りの知識の

コミュニティ」の知識に頼っているのである。

残念ながら私たちは、私たちが理想とするように、個々の独立した考えを持っている

わけではない。私たちの意見は洋服と同じようなもので、そのときの流行りのものを

ただ身にまとっているだけだ。もっと正確にいえば、自分が属する社会集団が着ている

ものをまねして身にまとっているだけなのである。

恐ろしいのは、個別のテーマに対してだけ「グループの意見」があるのではなく、

「グループの意見」自体がひとつの世界観を形成している場合だ。

その場合、「グループの意見」は「イデオロギー」と名前を変える。イデオロギーは

グループの意見より格段に強く、あらゆる物事に対する見解を包括的に提供する。

イデオロギーは危険きわまりない。脳に高圧電流のように作用して、私たちにさまざま

な「短絡的行動」をとらせるばかりか、ヒューズをすべて焼ききってしまう。

世間から隔絶された教育を受けてISに忠誠を誓い、古いイスラム教の教義を復活させる

ための戦いに参加するヨーロッパの若者たちがその例だ。

 

何があろうと、イデオロギーや教義には近寄らないほうがいい。

あなたが少しでも共感を持てるようなイデオロギーや教義がある場合は、特に要注意だ。

イデオロギーにかかわってもいいことはない。あなたの世界観が狭まって、結果的に

粗末な決断をしてしまうだけだ。何かの原理・原則に固執して生きる教条主義者なのに

わすがでも良い人生を送っている人になど、私はいままで一人も出会ったことがない。

ここまでは明快だ。ただし、問題は、多くの人はイデオロギーにのめりこんでしまって

もまったく気づかないということだ。

イデオロギーかどうかをどうやって見分ければいいのだろうか?

イデオロギーであることをしめす危険信号は三つある。あらゆる事象に対する説明が

用意されていること、反論の余地がないこと、そして不明瞭であることだ。

 

□ イデオロギー

 

○ イデオロギーとは簡単に言うと何ですか?

 

「イデオロギー」は「観念形態」を意味する

もう少し簡単にいうと、個人や社会が物事をどう捉え、どのように行動するかの

指針という意味です。例えば、資本主義や社会主義、民主主義などはそれぞれ

異なるイデオロギーが存在しており、その社会の文化や政策に反映されています。

2024/05/13

 

□ 包括的

 

包括的(ほうかつてき)とは、ある対象や範囲を全体的に、網羅的に取り扱うことを

指す形容詞である。この言葉は、多くの分野で使用され、対象物や事象が広範囲に

わたっていることを示す。例えば、包括的な調査や分析では、あるテーマに関連する

すべての要素や情報を網羅し、全体像を把握することを目指す。

 

□ 教義 (きょうぎ)

一般に宗教的真理を表明した命題を意味する用語。教理ともいい,哲学的・政治的

信念や主張を指して使われることもあるが,とくにキリスト教において重要な意義を

もつ

 

□ 教条主義者

 

状況や現実を無視して、ある特定の原理・原則に固執する応用のきかない考え方や

態度

 


 

2025年1月8日

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

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