Think clearly シンク・クリアー ㊾-1
49. 自分を重視しすぎないようにしよう—謙虚であることの利点
□ 「人名」がついた大通りを歩きながら思うこと
オスマン通り、フォッシュ通り、ドクター・ランスロー通り、ポール・デュメ通り、
テオジュル・リボ通り、クレベール通り、ラスパイユ通り。どれも、「人名」にちなん
だパリの大通りの名前である。
だがいまでは、これらの通りの名が、誰の名前からとられているかを知っている人は
ほとんどいないのではないだろうか。通りの名になったのがどんな人たちだったか、
ちょっと想像してみてほしい。
(中略)
オスマンやフォッシュやラスパイユほどの人物でも、名前が広く知られていた期間が
せいぜいで「四世代」だったことを考えると、現代の世界的な著名人たちの名前も、
数世代後には忘れてしまうのだろう。
一○○年か、遅くとも二○○年後には、ビル・ゲイツや、ドナルド・トランプや、アンゲ
ラ・メルケルを誰だかわかる人はほとんどいなくなる、ということになる。ましてや
あなたや私については、わずか数十年後には気にかける人などひとりもいなくなるだろう。
□ 遺伝子を次世代に残せるのは、どちらのタイプ?
ここでちょっと、ある架空の世界を想像してほしい。
この世界には、AとBの二種類の人間がいる。「Aタイプ」の人は限りなく自尊心が高い
のに対して、「Bタイプ」の人はほとんど自尊心を持たない。
(中略)
—-遺伝子を次の世代に残せるチャンスが大きいのは、どちらのタイプだろう?
もちろんAだ。
そして現実の世界でも、ある程度のエゴも持たずに人間が生きていくことは、まず不可
能だ。
ほんの一日だけでいい。「私」や「私の」という言葉を使わずに過ごせるかどうか、
試してみるといい。私も試したことがあるが、無残な失敗に終わった。
要するに、私たちは「Aタイプ」の人間なのだ。
(中略)
それにそういう場合、理があるのはたいてい自分以外の人たちの方だ。私たちは、自分
で思っているほど重要な存在ではないのである。
「自分が重要な人間だ」という思い込みを避けるには、次世紀の視点から自分を
眺めてみるといい。あなたがどんなにすばらしい人だったとしても、その頃にはもう
誰もあなたの名前を覚えていない。
□ 「自分を重要視する度合い」は低いほうがいい
「自分を重要視しすぎない」のは、よい人生を手にするための基本中の基本だ。それど
ころか「自分を重要視する度合いが低ければ低いほど、人生の質は向上する」という
逆の相関関係まで成立する。
どうしてそのようなことが起きるのだろう? 理由は三つある。
ひとつ目は、自分を重要な存在だと思い込むと「余計な労力」が必要になるからだ。
(中略)
具体的に言えば、信じられないようなサクセスストーリーを披露したら、有名人と知り
合いでもあるかのような自慢話をしたりして、注目を浴びようとするのをやめるという
ことだ。
(中略)
この続きは、次回に。
2025年2月20日
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美