お問い合せ

「小さいことにくよくよするな! 」⑧

16. 1年たてば、すべて過去

 

私は毎日のように「タイムワープ」と自分で名づけたゲームをやっている。自分がいま

かかえている問題は本当に重要なんだ、というまちがったしつこい思い込みをほぐそう

として作ったゲームだ。

この「タイムワープ」ゲームは、実に簡単だ。いまの状況がなんであれ、それがいま

起きているのではなく1年後に起きるのを想像するだけでいい。次に「これはそんなに

重要な問題なのか」と自分に聞いてみる。本当に重要なことも万に一つはあるだろう–

–だが、ほとんどはたいしたことではないのだ。

配偶者、子供、上司とのもめごと、自分のミス、失ったチャンス、なくした財布、仕事

の失敗、捻挫—–問題はなんであれ、1年たてば気にならなくなるはずだ。

人生のその他もろもろの出来事の1つにすぎなくなる。

 

この簡単なゲームですべての悩みが解決するとはいわないが、客観的な見方が養える

ことはたしかだ。私は、以前あんなに真剣に悩んでいたことを笑いとばせるように

なった。

以前は怒ったりあわてたりで使いはたしていたエネルギーを、いまでは妻や子供たちと

過ごす時間や、前向きに考えることに振り向けられるようになった。

 

17. 人生は不公平、が当たり前

 

人生がいかに不公平かという話をしていたとき、友人にこう聞かれた。

「人生は公平だなんてだれが言ったの?」。

 

彼女はいい質問をした。それで子供のころに教わったことを思い出した。人生は公平で

はない。それは不愉快だが、ぜったいに真実だ。皮肉なことに、この事実を認めると

気持ちがすっと自由になる。

私たちがしでかす思いちがいの1つは、自分や他人を気の毒がることだ。人生は公平で

なくちゃならない、いつかそうなるべきだ、とつい思ってしまう。

だが、人生は公平ではないし、そんな日がくるはずがない。いったんこの思いちがいに

はまると、人生が思うようにいかないことにくよくよしたり、人と傷をなめ合って人生

の不公平についてグチを言い合うことに時間をとられるようになる。「まったく不公平

だような」と人はよくグチをこぼすが、そもそも人生とは不公平であることに気づいて

いないせいだろう。

人生は不公平だという事実を認めると、自分を気の毒がらずにすむようになり、いまも

っているものを最高にいかそうと自分を奪いたたせるようになる。

すべてを完璧にしようとするのは「一生の仕事」ではなく、自分にたいする挑戦なのだ。

この事実を受け入れれば、人を気の毒がることもなくなる。みんなそれぞれに困難を

乗り越え、それぞれの挑戦にたち向かっているからだ。私はこの事実を受け入れる

ことで、2人の子供を育てる大変さを乗り越え、自分が犠牲になっているとか不当に

扱われテイルといった個人的な葛藤を乗り越えてきた。

 

人生は不公平だからといって、すべてあきらめ、自分自身の人生や社会の向上につとめ

なくてもいいということではない。

その逆で、だからこそ努力すべきなのだ。人生は不公平だという事実を認めないと、

つい他人や自分を哀れむようになる。憐憫は人のためにはならない。

すでに気が滅入っている相手の気分をさらに落ち込ませるだけだ。

だが、人生は不公平だという事実をはっきり認めると、人にたいしても自分にたいして

も同情することができる。同情は哀れみとちがって相手に心からのやさしさを伝えるこ

とができる。

こんど社会の不公平について考えるときがあったら、この基本的な事実を思い出して

みよう。そうすれば自己憐憫を振りきって、なんらかの手を打とうという気にさせて

くれるから驚きだ。 

 

18. たまにはぼんやりしてもいい

 

(中略)

 

「たまにはぼんやりすることをすすめますね。なにもしない。それがあなたの

訓練の1つです」

 

(中略)

 

私は聞いた。彼の説明によれば、たとえ1時間でもぼんやりする時間をつくってみると、

退屈な気分はゆったりした気分に変わっていくという。少し練習すれば、リラックス

するコツが身につくはずだ、と。

 

(中略)

 

何時間もぼうっとなまけて過ごす、ということではない。ただ一日に数分でいいから

「なにかをする」のではなく「なにもせずぼうっとして」リラックスするコツを身に

つけるということだ。

 

(中略)

 

なにもせずにぼうっとするのにテクニックはいらない。ただ座って窓から外をながめたり、

自分の考えや感情を見つめたりすればいい。最初はとまどうだろうが、少しずつ慣れて

楽にできるようになる。その報酬はとてつもなく大きい。

 

(中略)

 

なにもせずぼうっとするのがなぜいいか。頭をからっぽにしてリラックスすることを

教えてくれるからだ。そうすることで短い時間でも「なにも知らない」自由を与えて

もらえる。

体と同じように頭もたまには休めなくてはいけない。頭をからっぽにしてやれば、

前よりもっと強く、シャープに、クリエイティブになって復活する。

退屈することを自分に許すと、毎日たえずなにかをしなくてはいけないという大きな

プレッシャーが取り除かれる。

 

(中略)

 


 

この続きは、次回に。

 

2025年5月15日

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

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