「小さいことにくよくよするな! 」㉝
70. 日ごろの心かけがその人をつくる
日ごろ心がけて実践していることがその人をつくる。
なにかがうまくいかないとイライラする、誰かに批判されるとムキになって自己防衛に
出る、自分の正しさを主張する、不運におそわれる頭の中で雪だるまを太らせる、人生
を非常事態だと受けとめる—–そういう習慣が身についていると、残念なことに人生は
その繰り返しになる。欲求不満におちいるのは、ある意味で、〝欲求不満におちいる〟
癖がついているからだ。
しかし、これと同じように、思いやり、忍耐、親切、謙遜、平和といったいい要素も、
日ごろの心がけで身につけることができる。とすれば、なにを心がけるか慎重に選ばな
ければならない。
たえまない向上を目標に掲げて生きる、などという一大プロジェクトを提案しているわ
けではない。ただ自分の癖や習慣に気づくだけで、かなりちがってくると言いたいだけ。
いつもなにに注意しているか? 時間の使い方は? 定めた目標に到達しやすい習慣を心が
けているか? 自分の理想とする人生と現実の人生は釣り合いがとれているか?
こういった大切なことを自分に問いかけ、正直に答えるだけでいい。
そうすれば自分がなにを心がければいいかわかってくる。「もっと自分のために時間を
使いたい」とか「前から瞑想を習いたかった」とかいつも思いながら、その時間がとれ
ないことがあるのでは?
悲しいことに、心に栄養をつける時間をとらずに、車を洗ったり楽しくもないテレビや
ビデオをみたりすることに時間をさいている人たちが多い。日ごろの心がけがその人を
つくる、ということを頭に入れておけば、いままでとはちがう癖や習慣を選ぶように
なるだろう。
71. 心を静める
「人の悩みのすべては、一人きりで静かに部屋に座っていられないことから生じる」と
パスカルは言った。
私はそこまで深い境地に達することができるかどうか自信がないが、心を静めてこそ
心の平安が生まれることは確信している。
そして心の平安の体の安らぎにつながることも。
内省、深呼吸、瞑想、視覚化など心を静めるテクニックはたくさんあるが、世界的に
もっとも広く受け入れられているのが瞑想だ。1日わずか5分から10分ほどで心を静め
ることができる。そこから生じた静まりは日常の暮らしに波及し、小さなことに前ほど
カリカリしなくなってくる。瞑想は空極の開放感を味わい、穏やかな心境になる方法を
教えてくれる。
瞑想にはさまざまなやり方がある。しかし意識をからっぽにするという基本は同じだ。
またふつう、静かな環境で一人ひとりで行われる。まず目を閉じて意識を呼吸に向け
る—吸って吐く、吸って吐く。頭に雑念が入り込んだら、そっと押しやって意識を
呼吸にもどす。それを何度も繰り返す。続けるうちに、意識を呼吸に向けながら頭から
雑念を追い出すことができるようになる。
瞑想はそんなに楽なものじゃない、とすぐに気づくだろう。心を静めようとしたとたん
に雑念が入り込むことにも。初心者は数秒も意識を集中させることができない。
コツは、ゆっくりと慣れていくよう自分にやさしくすることにある。最初からがっくり
こないで。1日ほんの数分でもいい、続ければすばらしい効果がある。あなたの地元に
も瞑想クラスがあるはずだし、本を読んで独習することもできるが、おすすめはビデオ
テープ(目を閉じて本を読むのは難しい)。私のお気に入りはラリー・ル・シャン著
『瞑想のやり方』(邦訳なし)で本とビデオがある。
「自分自身」と平和に仲よくやっている人で、日ごろ瞑想に時間をさいていない人を
私は知らない。
この続きは、次回に。
2025年7月21日
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美