「小さいことにくよくよするな! 」㊹
92. 思考のパワーを自覚する
頭脳のしくみについて1つだけ気づくべきだとしたら、もっとも重要なのは思考と感情
の密接な関係についてだろう。
自分がたえず考えていることを自覚することが大切だ。「当たり前じゃないか、そんな
こととっくにわかってるさ」と思わないでほしい。たとえば、自分の呼吸について考え
てほしい。あなたがこれを読んでいるこの瞬間まで、自分が呼吸していることを意識し
ていなかったはずだ。私たちは息が止まらないかぎり、そのことを忘れている。
思考も同じようにはたらく。いつも考えているため、自分が考えているということを
忘れがちだ。しかし呼吸とちがって、考えていることを忘れると重大な問題が発生する
—-不幸、怒り、葛藤、ストレスなどだ。なぜそうなるかというと、考えていることは
つねに自分の感情として反映されるからだ。それは点と点の関係にある。
なにも怒る理由がないのに怒ろうとしてみよう! 次に、べつに理由がないのにストレス
がたまったと感じてみよう。悲しくないのに悲しいと感じ、嫉妬のタネがないのに嫉妬
したと感じてもいい。できるはずがない—-不可能だから。本当の話、その感情を生み
出す思考がないとなにも始まらないのだ。
不幸は、それ自体では成りたたない。不幸という感覚は、人生を否定的に考えたときに
生じる。その思考がなければ不幸やストレスや嫉妬は成りたたない。
次にカリカリ頭にきたときは、自分の思考に気づこう—-きっとネガティブなはずだ。
ネガテイブなのは自分の思考であって自分の人生ではない。この単純なことに気づく
ことが幸せを呼び込む第一歩となる。
練習が必要だが、続ければ自分のネガティブな思考をピクニックで広げた弁当にたかる
ハエのように手で追いはらって、悠々と楽しめるようになる。
93. 「モア・イズ・ベター」と言う考え方を捨てる
私たちは歴史始まって以来、もっとも豊かな文化を享受している。アメリカの人口は
世界のわずか5%にすぎないのに、世界の天然資源の半分近くを消費していると推定
されている。
「モア・イズ・ベター」が本当だとすれば、私たちはもっと幸せでもっと充実した
人生を送っているはずだ。だが、実際はそうではない。それどころではない。事実、
私たちは史上もっとも混乱した文化のなかで暮らしているのだ。
物をたくさんもつことが悪いとかまちがっているというのではなく、もっともっと
多くの物を求めるのが狂気の沙汰なのだ。「モア・イズ・ベター」と考えているかぎり、
けっして満足することはない。
私たちはなにかを手に入れたり、なにかを終えたとたんに次のことに向かう—ただちに。
これでは人生や多くの恵みを味わう暇もない。
(中略)
私たちはなにをやっても—-家や車を買う、食事をする、パートナーを見つける、服を
買う、権威ある賞を受けてさえも—-足るを知らないようだ。
この悪い癖を克服するコツは、もたないことが問題なのではなく、もっと求めることが
問題なのだ—つまり「モア・イズ・ノット・ベター」だと自分に言いきかせること。
足るを知るというのは、もう物をもったり求めたりすべきではないということではなく、
幸福は物によって与えられないと知ることだ。もっとほしいと願う気持ちではなく、
いま現在に意識を向けることによって、もっているもので幸せになることはできるのだ。
あれがあったら、という思いが頭に浮かんだら、それが手に入ったとしても満足しない
だろうとやさしく自分を説得しよう。なにかをほしがる思考の図式はリピートするからだ。
すでに与えられているものにたいして感謝することを学ぼう。人生をはじめて見るかの
ように。この新しい見方を身につければ、新しいものや成果が人生に現れたとき、それ
に感謝する思いがさらに深まっているだろう。
幸福になるためのすばらしい手段は、もっているものとほしいものを分別することだ。
もっと多くのものと幸せを追い求めて一生を送ることもできる—または、もうほしが
らないと心に決めることもできる。後者のほうがはるかに実行しやすいし、充足をもた
らしてくれる。
□ 足るを知る
元々の語源は「足るを知る」からきているようで、お釈迦さまの教えや中国の思想家の
老子の言葉とされています。お釈迦さまの教えでは満足する気持ちを持ち、不満を感じ
ず満ち足りた気持ちを持つことが大事で「足ることを知る人は心が穏やかであり、足る
ことを知らない人は心がいつも乱れている」と説かれています。2024/06/25
□ モア・イズ・ベター
多ければ多いほどいいです。
この続きは、次回に。
2025年8月19日
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美