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書籍「Effectuation エフェクチュエーション」 ㉘

相手が経済的な見返りを求めているとは限らない

 

パートナー候補として他者に問いかけを行う際に、相手に対して何も見返りを提供でき

ない、と考えて躊躇する人もいるかもしれません。しかし、相手が期待したコミットメ

ントを提供してくれるのか、それがどのような理由によるものなのかは、結局のところ

相手が判断する問題であるといえます。また、先のクラウドワークスのサービス立ち上

げ時の逸話に見られるように、協力をしてくれる相手が、必ずしも直接的なリターンや

経済的な見返りを期待しているとは限らない場合も多いのではないかと考えられます。

たとえば、起業家一人では実現できないような価値ある未来を自分が参画することで

現実にできると考えるとき、自分では十分に認識していなかった自らの手持ちの手段の

価値を起業家が評価してくれるとき、あるいは、起業家のビジョンに共感して単純に

ワクワクした気持ちを感じるとき、問いかけを受けたパートナーにとって、もしコミッ

トメントが許容可能な損失の範囲にとどまるのであれば、見返りがなくとも協力をする

理由は十分にあるのではないでしょうか。

社会心理学の実験結果からは、私たちが見知らぬ人に対して何かを頼むとき、他人が

直接の助けの要求に応じる可能性を過小評価する傾向がある事が明らかにされています。

具体的には、アンケートに協力をイライする、携帯電話を貸してもらう、キャンパス内

の体育館まで案内してもらう、といった突然の依頼に対して、実際に依頼をした実験

参加者の学生たちは、その成功確率を50%も低く見積もっていたのです。直接誰かに

助けを求める場合、意外に協力が得られやすい理由は、それを断ること(援助をしない

こと)の社会的コストのほうが実際には大きいためとも解釈されていますが、同時に、

難なくできる行動であれば、助けに応じる側がそれによって満足や自尊心の向上といった

心理学的なメリットを得られやすいためであることも指摘されています。


 

この続きは、次回に。

 

2025年12月19日

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

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