創業者精神‐最終
第一部 わたしのビジネス転機
北 茂 阪和興業社長
四面楚歌同然の状況下にあって、「なにくそ」という反発心を唯一のより
どころとして生き抜いてきた人生経験そのものが、ベースになっている。–
-最大のビジネス転機はいつも最大の苦況の中にある。
そのことを私はいま多くの企業家諸兄に言いたい。
大河原 毅 日本ケンタッキー・フライド・チキン社長
事業は失敗から始まる。失敗を知らない真の起業家は危ない。
飜っていえば、失敗のない真の起業、創業はないのではないか。
多くの失敗を克服した起業家こそが、企業を永遠に存続させることが
できるのではないか。
How to win=「いかに勝つか」ではなく、
How not to lose=「いかに負けないか」を考えればいい。
中山 隼雄 セガ・エンタープライゼス社長
経営理念なき経営者は、通用しない。
「ビジネス転機」は「理念」にあり、「哲学」にある。
私はあえてそういいたい。
「M&Aに自らを駆り立てる経営理念」だろう。
哲学のない経営者は通用しない。
太田 実 ロジャース社長
金は動かしてこそ利を生む。
薄利も積もれば巨富になる。
私の商法は結局、そういうことだろう。
長谷川 裕一 はせがわ社長
決して要求しない人生
理想を実現するためには、あれこそ要求するよりも義務を果たすことが
大切であることを学んだ。その時以来、私は「決して人に要求しないことを
モットーにしてきた。
仏教に「遊戯三昧」という概念がある。
21世紀はよく遊び、いろいろな物を創り出す—そんな時代がやってくるだろう。
それに向かって私も第三の転機を迎えることになるかもしれない。
齋藤 武吉 北欧社長
会社の経営に「絶対の安定」などということはない。
ちょっと業績が良くなると忘れてしまうことが多い。
特に経営者の影響が大きく中小企業の経営は、社長が少しでも手を抜くと、
すぐにどこかに流されてしまう「根無し草」のようなものになってしまうと
いうことを、肝に銘じなければならないと思っている。
佐藤 研一郎 ローム社長
本当は、お金がある時、気持ちがゆったりとして余裕のある時こそ、良い
アイデアが生まれてくるものだが、そうはいかない。逆に、成長力が鈍ると
真剣に次の商品のアイデアをひねりだそうとする。
しかし、「貧すれば鈍する」で、うまくいっていない時には何をしても、
うまくいかないものだ。
経営内容や技術力といった企業としての信用よりも、長い時間をかけて
培った人間的な信用の方がはるかに重要で、最後のよりどころはこれしか
ないということだ。
佐藤 安太 タカラ社長
好調時にこそ、大胆な変革が必要。
故松下幸之助さんは、
「毎日毎日ノウハウも技術も進歩しているし、社長も社員も同様に進歩して
いるから、自然体でいれば正しく経営できる。」と言っている。
中小企業は、魚でいえば雑魚。浅瀬で餌を探していれば生き延びられる。
しかし、マグロぐらいの大きさに育ってしまった中堅企業は、浅瀬の餌では
生き延びられない。だから、遠洋まで出ていかなければならない。
そして、そのためには、中小企業とは違った心構えが必要だ。
永瀬 昭幸 ナガセ社長
突き詰めて考えた上で、最後は開き直れば道は開ける。
その先に新たな創業がある。
総括 私はこの書籍を読みながら、ドラッカーが言っている言葉を思い出し、
創業者の方々の考え方、哲学、信念というものを感じました。
それでは、次回をお楽しみ。